研究課題/領域番号 |
25340154
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
永松 俊雄 崇城大学, 工学部, 教授 (00515934)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 環境政策 / 環境再生 / 政策過程 / メディエーション / 協働的合意形成 / 市民参加 |
研究概要 |
研究初年度である本年度は、米国の環境再生政策におけるメディエーション(協働的合意形成)に関する情報収集を目的として、米国連邦政府環境保護庁(リジョン10)、ワシントン州政府自然保護局、モンタナ州政府環境局等からの聞き取り調査を行った。 調査結果をもとに、①アクター分析(環境被害地域の再生・復興におけるアクター間の関係性等)、②政策分析(政策プロセスへの市民参加システム等)、③政策プロセス・マネジメント分析(関係者の情報共有手法、参加形態、利害対立から生じるコンフリクトの調整、合意手法等)を行い、行政・住民間の双方型コミュニケーションや政策プロセスへの市民参加ルートの確保が、行政・住民間の信頼や協働関係の構築に不可欠であること、専門家の市民に対する支援制度や利害関係者間のコンフリクト調整を行う中立の第三者(ファシリテーター)の存在が、賢明な協働的合意形成の実現に重要な役割を果たしていること等が明らかになった。 また、米国型の協働的合意形成手法の日本への適用可能性検討のために、水俣病関係者、市民、行政、原因企業が参加する協働合意形成型の取り組み(水俣市民円卓会議)に参加し、同会議において米国の市民参加型の環境再生政策について報告、我が国への導入を図る際の問題点等について意見交換を行った。 この他、日本行政学会・災害と科学技術研究部会にも参加し、同部会において「災害復興におけるレジリエンスとメディエーション」をテーマに発表を行った他、水俣病問題における国・熊本県と被害者間の対立及びその司法的解決についての検討結果を、「公害・環境被害における加害と被害-司法的解決に関する政策学的考察-」堅田剛編『法文化叢書11 加害/被害(2013年)』にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画は、(1)米国での現地調査、(2)調査に基づく、アクター、政策構造、政策プロセス分析、(3)水俣市における協働的合意形成への参加、(4)研究者等との意見交換等であったが、調査地域に一部変更があった他は、概ね計画通りに実施できた。また、現地調査に加えて水俣市民円卓会議や学会等の場での意見交換を通して、多くの知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き米国での現地調査を行うとともに、水俣市民円卓会議等への参加や意見交換を通して、協働的合意形成や政策プロセスに関する知見を収集するとともに、研究者との意見交換を定期的に行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究者等との意見交換を行う際の会場費が不要であったため。 次年度も研究者や水俣市民等との意見交換を予定しているので、会議費として使用を計画している。
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