研究課題/領域番号 |
25340155
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研究機関 | 公益財団法人アジア成長研究所 |
研究代表者 |
今井 健一 公益財団法人アジア成長研究所, その他部局等, その他 (30413793)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 中国 / インド / 日本 / アジア / 排出権取引制度 / 自治体 |
研究実績の概要 |
平成26年度においては、本研究の対象国である中国、インド、日本、韓国の内、国レベルの排出権取引制度は2015年1月よりスタートしたものの、自治体レベルの排出権取引制度の導入が確認できていない韓国を除く3ヶ国における自治体排出権取引制度について比較研究を実施した。具体的には、3ヶ国それぞれの自治体排出権取引制度の①背景・目的、②制度設計の特徴、そして③現時点までの効果につき分析すると共に、これら自治体排出権取引制度の今後の課題について考察した。(中国では、2省5市において、2011年、試験的に排出権取引制度がスタート、インドでは、3州において、2011年、やはり試験的に排出権取引制度がスタートしている。) 本研究の目的は、中国、インド、日本といったアジア諸国において導入されつつある自治体レベルの排出権取引制度が、将来、アジア域内でリンクした場合のその有効性と効率性を検証することである。本年度においては、アジア域内における自治体排出権取引制度のリンクを検討する上で重要な2点を確認することができた。1点目は、インド3州における排出権取引制度は、排出削減対象が温室効果ガスではなく、健康に重大な影響を及ぼす公害物質としていることである。よって、極めてユニークな排出権取引制度ではあるが、中国や日本の排出権取引制度とのリンクについては可能性が低いと考えられる。2点目は、中国2省5市における排出権取引制度の実績を踏まえ、2016年より国レベルの排出権取引制度が中国において導入される模様であり、2省5市における排出権取引制度は継続実施されない可能性も考えられる。以上のように、今年度の研究において、“自治体排出権取引制度”は、国によって、その背景、目的、制度設計などにおいて大きな違いがあることがわかった。これは、アジア域内における自治体排出権取引制度のリンクの可能性を考える上で重要となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で対象としているインド、中国、日本における自治体レベルの排出権取引制度は、そのほとんどが2011年に導入(あるいは試験的に導入)された制度である。よって、本研究の目的である「アジア域内における自治体排出権取引制度のリンクがもたらす効果について」の検証、具体的には、これら自治体排出権取引制度がもたらす①排出削減目標達成、②排出削減費用、③排出削減技術への効果を検証するためのデータがまだ公表されていないため、上述3項目(①~③)への効果に関する定量的(あるいは定説的)な分析が研究計画どおりに実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の研究課題「アジア域内における自治体排出権取引制度のリンクがもたらす効果について」にあるとおり、本研究が当初想定していたリンクとは、中国、インド、韓国、日本において導入されている自治体レベルの排出権取引制度のリンクである。しかしながら、研究を進めるにつれて、(1)韓国においては、国レベルの排出権取引制度は2015年1月に導入されたが、自治体レベルの排出権取引制度は導入されていないこと、また(2)インド3州において導入されている排出権制度の排出削減対象が温室効果ガスでなく、健康に影響のある公害物質である一方、国レベルにおいて省エネを目的とした排出権取引制度に似た制度が導入されていることが明らかとなった。以上を踏まえ、リンクについては、自治体レベルの排出権取引制度同士のリンクに制限することなく、より現実的に自治体レベルと国レベルの制度のリンクも検討することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に計画していた研究成果発表(国際学会発表)が平成27年度実施となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額については、研究成果発表(国際学会発表)のための旅費ととして使用。
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