研究課題/領域番号 |
25350114
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
近藤 美樹 徳島文理大学, 人間生活学部, 准教授 (80326412)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 紫黒米 / アントシアニン / プロトカテキュ酸 / 高コレステロール血症 |
研究実績の概要 |
本研究は、C3Gの熱分解産物であるPCAの抗酸化作用を中心とした生活習慣病の発症・進展抑制効果を明らかにすることを目的としている。平成26年度は、高コレステロール血症モデル動物における紫黒米の血漿脂質レベルに及ぼす影響を検討する手段として、高コレステロール血症モデル動物の作成方法の確立を試みるとともに、本試験でC3GおよびPCAの給源として用いる米由来の試料を調製した。 C57BL/6Jマウス、雄性、4週齢を1週間普通食にて予備飼育後、高コレステロール食として2%コレステロールならびに40%脂肪食を自由摂取させ、対照として、普通食群を設定した。飼育期間中、摂餌量および体重を測定した。さらに、一定期間ごとに尾静脈より採血し、それら血漿中の中性脂肪、総コレステロール、HDL-コレステロール濃度を測定し、脂質異常症の発症を確認した。 その結果、コレステロール濃度に関しては、普通食群と比較して、高コレステロール群において、HDL-コレステロール濃度の低下、総コレステロールならびにLDL-コレステロール(算出値)濃度の上昇が認められ、コレステロール濃度の異常を認めた。しかし、参考文献に基づき2週間の飼育による発症を予定していたが、約3か月の飼育期間を要した。さらに、対照の普通食群に対して、高コレステロール食では摂餌量の低下により体重ならびに血中の中性脂肪濃度の増加が認められなかった。 以上の結果より、高コレステロール血症のモデル動物は作成できたものの、予想に反して、摂餌量の低下による体重増加や中性脂肪の濃度上昇が認められず、食餌組成の変更の必要性が検討課題として残った。現在、再検討中であり、最終的には高コレステロール添加のみでの検討も視野に入れている。 一方、摂食実験に用いる添加米試料の調製を行い、未処理の紫黒米と炊飯後の飯、さらに玄米および精白米由来の試料を調製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記したように、高コレステロール血症モデル動物の作成に時間を要したこと、さらに、食餌量の低下により、普通食群と比較して体重増加や中性脂肪濃度の上昇などが認められず、モデル動物への各種米試料を添加した摂食実験は予備実験に留まった。 一方で、次年度に予定してる各種酵素活性の測定方法の確立については、モデル動物の作成により得られた生体試料を用いて既に検討済みであり、上記の遅れをカバーすることはできている。
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今後の研究の推進方策 |
高コレステロール血症モデル動物における紫黒米の加熱調理の有無による差異が血漿脂質レベルに及ぼす影響を比較検討することを目的として、下記の実験を実施する。 1.各種米試料の高コレルテロール血症の発症に及ぼす影響の比較検討 (1)高コレステロール食に、未処理の紫黒米と調理した飯を混合した食餌により、3か月間飼育する。並行して、玄米、精白米、さらにPCAの効果を明確にする目的で標準品のPCA添加食群を設定する。 (2)解剖により得られた血漿を用いて、総コレステロール値、HDL-コレステロール値、LDL-コレステロール値(算出値)、中性脂肪、遊離脂肪酸量、およびTBARS値を測定する。 (3)解剖により得た肝臓を用いて、各種の抗酸化酸化酵素の活性を測定する。 2.研究の総括;3年間の実験結果から、各種疾病モデル動物におけるC3Gの熱分解物であるPCAの生体抗酸化作用を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
モデル動物の作成に予定よりも時間を要し、各種試料を添加した摂食実験の本実験が遅れたことにより動物の購入代が残り、次年度の使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
動物実験に係る経費(動物や餌)として執行予定である。
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