研究課題/領域番号 |
25350378
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
平田 光司 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 教授 (90173236)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 研究者集団 / アーカイブズ / オーラルヒストリー / 巨大科学 / 社会史 / 科学政策 |
研究概要 |
2013年度には、名古屋大学坂田記念史料室の資料を中心に調査を進めた。同室に保存されている核物理特別委員会(核特委)の資料、特に議事録を利用して、高エネルギー(HEP)研究者集団が核特委の委員選出枠を獲得することに関する議論を追い、従来考えられてきたように既存研究者グループが抵抗するなかで、HEP集団が委員選出枠を獲得したわけではなく、むしろ、既存のグループとしてはHEP集団を核特委の枠組みに囲い込み、コントロールを強めようという意図もあった可能性が見えてきた。この点は核特委側の将来計画に対する考え方の根幹に関わるものであり、本研究課題の中心として集中的に検討する可能性が高くなった。 なお、この成果に関しては日本物理学会年会で報告を行った。(平田光司。高岩義信「坂田史料に見る原子核特別委員会と高エネルギー同好会」2014年3月28日) また、HEP集団が実質的な力を獲得する上での原子核研究所(核研)電子シンクロトロン(ES)の完成と利用が大きな役割を果たした可能性も見えてきた。核研高エネルギー部についての資料は高エネルギー加速器研究機構史料室にあるが、まだ、整理が進んでいないので、この点から整理に協力しつつ、研究を進める可能性が出てきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高エネルギー同好会設立時に若手であった研究者へのインタビュー調査を当初計画していたが、本人の都合、健康状態などから日程を確保できず、2014年度に延期することとなった。また、25年度には名古屋大学坂田史料室、高エネルギー加速器科学研究機構史料室などを利用するためにまとまった日程を確保することが難しく、短時間の利用を繰り返すことになって、効率が良くなかった。26年度には、これらの点は改善し、遅れを取り戻すことが可能と思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
2014年度には、「研究実績の概要」に示した(1)HEP集団、ひいては高エネルギー物理学研究へのコントロールという観点から核特委における議論を検証する、(2)HEP集団の形成における核研ESの役割について、史料をさがし、適切な方へのインタビューも可能であればおこなう。さらに、当初から計画していた個々の研究者の研究分野の変遷についてサーベイし、データベース化をこころみる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたインタビュー対象者の健康状態、および日程調整が難しく、2014年度に延期したため。また、資料調査にまとまった時間がとれず、予定を下回った。 当初の予定通り、25年度に計画していたインタビュー調査、資料調査を進める。
|