本研究は,人体の皮下組織の構造形態を模倣し,皮下組織の応力を評価できる人体腰部ダミーモデルの開発を目的とした.腰部断面画像に基づき生体に忠実な筋肉と脂肪層を持つ腰部ダミーモデルを作成する技術を開発し,腰部有限要素(FE)モデルと同じ形状・形態を実現した.骨盤と大腿骨モデルを作成し,腰部原型の鋳型に固定しシリコンゴムを流し込み腰部ダミーモデルを作成した.力学的にほぼ同じ特性を持つ腰部FEモデルと実験用ダミーモデルを得ることができた.両者を用い,ダミーモデルの実験で得られた姿勢や接触圧力をFEモデルに入力し解析すれば,実験では困難な軟組織の応力を求めることが可能で,臨床看護への応用が期待できる.
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