研究課題/領域番号 |
25350608
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
仙石 泰仁 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (10248669)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発達性協調性運動障害 / 不器用 / 道具操作 |
研究概要 |
発達性協調性運動障害は多くの発達障害に合併することが報告されているが,その症状は主観的な評価しか行われていないことが多く,具体的にどのような機能特性が不器用な印象を与え,正確な運動遂行を阻害しているのかは不明な点が多い.本研究では発達課題として用いられることの多い「はさみ操作」を,運動力学的な視点と操作の巧みさから分析する評価方法を提案し,その臨床的有用性について検討を行う. 方法は左右でループサイズの異なる事務用はさみを用いて,一辺15cmの正方形に裁断したコピー用紙内に1mmの線で描かれた直径10cmの円と,直径5cmの半円を交互に上向きと下向きに配置した波型を切ってもらった.本年度は対象者として健常成人5名,発達障害児4名で実施した.分析にはハサミ操作指の接触部位に小型圧力センサを設置し,はさみ操作時に各指にかかる圧変化を分析した. 結果は健常成人では左右手とも切り損じはなく正確なはさみ操作ができていた.ループの開閉回数,所要時間とも個人間差があったが,左右手の違いでは左手では所要時間が増加し,開閉回数は増加と減少のどちらかの方略と取るものに分かれていた.発達障害児では円と波型課題それぞれの切り損じの総距離が,健常成人よりも明らかに長いものがいたが,開閉回数や所要時間では健常成人と明確な差はなかった.各指にかかる圧力は,健常成人では右手操作では拇指と中指が同程度の圧力で開閉を繰り返しているが,左手操作ではどちらかの指の圧力が上昇する傾向にあった.発達障害児では拇指の圧力が強くなり,開閉に伴い圧力が極端に変動する傾向も認められた.動作分析の結果では発達障害児で肩関節の動きがより大きくなる傾向にあった. 更に,本年度では操作指の圧力を3軸で測定できる機器の開発が終了し,今後はハサミ操作に関わる手指のより詳細な運動学的分析が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
不器用さの要因として考えている運動学的な特性に関する分析は,当初の予定通りに進捗している.しかしながら,操作手の3軸での圧力分析のための機器開発において,使用するセンサーの選定に時間を要し開発に1年を要してしまい,データ収集に遅れをきたしてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
操作手の3軸での圧力測定を行うための機器開発および新たな操作道具であるコンパスに関する測定機器の開発にもすでに着手しており,機器開発を早めに行うことで研究の推進を早めていく.また,データ収集のための対象者確保のため、協力施設を増やすことを予定しており,協力が得られることで,より早い研究目的の達成を図る.
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次年度の研究費の使用計画 |
機器開発が計画よりも遅れてしまったため,データ収集のための心理学的検査および処理のための人件費の支出が遅れたため. 機器開発が終了したことにより,データ収集に入れるため購入予定である。
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