本研究では脊髄損傷者の自律性体温調節反応と行動性体温調節に重要な温熱的快・不快感の関係を明らかにすることを目的とし、次のような実験を行った。まず健常者で実験を行い、脊髄損傷者で実施可能なプロトコルを決定した。次に、脊髄損傷者、健常者各8名を被験者として環境温を10分で2.5℃ずつ漸増的に27℃から40℃させるプロトコルでの暑熱暴露実験を実施した。自律性体温調節反応と温度に関する感覚を調べた結果、脊髄損傷者は健常者に比べ、障害部位より下位で熱放散反応ができないが、温度の変化を感じることは健常者と同等であることがわかった。
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