インドネシア、スマトラ東岸は広大な熱帯泥炭地で構成される。泥炭地の特殊な地質条件のために人間活動は制約されてきたが、有用樹栽培により徐々に開墾が進んてきた。栽培樹木からの産物は商品としてマレー半島やシンガポールに運ばれ、その生産・流通・消費にはさまざまな民族、国家、市場、制度が関係してきたように、スマトラ東岸の村落社会はマラッカ海峡周辺地域との関係のなかでとらえる必要がある。本研究では、19世紀後半から現在までを射程に、有用樹栽培が海峡周辺地域間の社会経済的関係を背景に変容してきたことと関連づけながら、スマトラ東岸における泥炭地開拓の動態を描き出すことを目指した。
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