研究課題/領域番号 |
25360056
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研究機関 | 大手前大学 |
研究代表者 |
岸本 香織 大手前大学, 総合文化学部, 非常勤講師 (40440903)
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研究分担者 |
青谷 美羽 京都造形芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (10578719)
岡 佳子 大手前大学, 総合文化学部, 教授 (50278769)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 尼門跡寺院 / 比丘尼御所 / ジェンダー / 女性 / 朝廷 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ジェンダー研究及び社会史・宗教史の重要な資料ともなる尼門跡寺院の資料調査・分析を通し、近世・近代の尼門跡寺院を中心とした女性ネットワークの実態を明確にすることである。 平成26年度は、霊鑑寺文書調査を2回(9月14~16日及び2月14~16日)計6日間行った。同寺の新出文書の調査書約300点について作成を終え、データ入力を行い、約1500コマ分の撮影を行った。今回の文書調査においては、特に、霊鑑寺門跡第四世観山宗恭(1769~1821、閑院宮典仁親王王女)ならびに第五世法山宗諄(1816~1890、伏見宮貞敬親王王女)に係る文書類の存在が明らかになっており、和歌懐紙なども多く存在することから、女性の手による国文学の資料としても貴重なものとなる。また本調査において、朱印状の存在も明らかとなっている。 また尼寺文書研究会を10回(4月26日・5月25日・6月8日・7月21日・8月24日・10月11日・11月24日・12月23日・1月17日・3月22日)開催した。慈受院蔵「総持院触留」は、朝廷・幕府から武家伝奏を通じて比丘尼御所に発給された触等を書き留めたものであり、尼門跡寺院では類例がない貴重な資料である。本年度研究会では、元文2年(1737)から寛保4年(1744)までの8冊分の翻刻作業を終えた。触留の内容の多くは町触とは異なるものであるが、中には手配書等、町触と同じものも見られるため、内容毎に触範囲が異なっていることが明らかとなる。 上記を踏まえた「近世・近代の尼門跡を中心とした女性ネットワーク」の個別研究に関しては、各自が研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
霊鑑寺文書調査は、予想以上の新出文書点数の調査となっているが、平成26年度1年間で300点程の調査書を作成し、概ね予定通りの調査書作成ができた。文書の写真撮影も1500コマ以上の撮影を行い、進捗に問題はない。 慈受院蔵「総持院触留帳」の翻刻については、予定通り1年間に8冊分の翻刻を行うことができ、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
霊鑑寺文書調査は平成27年度に3日間程度を1回予定している。残り数十点程の調査書を作成し、全文書の調査書作成を終了するとともに、入力したデータの確認作業を進め、目録作成を行う。文書の写真撮影についても、残りの文書(概算300コマ程)の撮影を行う。 慈受院蔵「総持院触留」の翻刻については、予定通り平成27年度前半に4冊の翻刻を行い、平成27年度後半には編集作業を行い、報告書としてまとめる予定である。 また「近世・近代の尼門跡を中心とした女性ネットワーク」に関する各自の研究課題は、個々に研究を深化し、報告書にまとめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度物品費について、デジカメ用バッテリーが購入予定額より若干低額で購入できたため、残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
変更金額が極めて些少であるため、基本的に使用計画に変更はない。 次年度は主に、資料調査及び寺院調査や研究会参加の旅費、これら研究推進のために必要な消耗品等物品購入費、研究会作業及びデータ整理の謝金、報告書の印刷・発送費や研究会会場費として使用を予定している。
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