研究課題/領域番号 |
25370212
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
渡辺 秀夫 信州大学, 人文学部, 名誉教授 (90123083)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 和漢比較文学 / 勅撰和歌集 / 礼楽思想 |
研究概要 |
(1)①和歌文学会7月例会に於いて科研課題に関わる「古今集序を読むために」の研究発表を行い、仮名序・真名序の文体的特色に関し、それぞれの典拠材源の位相差を明示することを通じ、読者層の相違及び両序の成立論議に新たな論点を提示した。これにより、後続の勅撰和歌集序の仮名・真名両序の文体を分析するうえでの今後の留意点がより明確化された。(2)青島大学に出張し、『古今和歌集と礼楽思想』の著者尤海燕氏と科研課題に係る諸問題を論じるとともに、関連資料の収集に努めた。これにより、当該課題に関わる研究姿勢として、従来の専門分野や学会を横断した幅広い見地からの和漢比較研究の必要性をさらに強く確信することができた(平成25年7月29日~8月3日の6日間)。(3)ポーランド共和国ヤゲェウォ大学東洋学研究所日本学科に於ける、①第7回ワルシャワ大学日本祭「平成の日本―日本的伝統からの離反と回帰」に於いて「草創期の仮名文について―古今集仮名序をめぐって」と題する講演(ワルシャワ大学図書館・10月14日)、②ヤギェオ大学主催国際会議・古典部門研究発表会参加(クラクフ市マンガ博物館・11月15日)、③学生・院生および社会人向けの「日本文学・文化と自然」と題する講演(クラクフ市マンガ博物館附属日本文化センター・12月13日)等の、研究交流・講演等を行い、西洋、キリスト教文化圏における日本文学・文化理解の様相をつぶさに実見することを通じ、儒教文化圏における文学現象及びその理解の特殊性(普遍性)・問題性を明確化することにより、現今の研究課題を推進する上での有意義な成果を得た(平成25年9月30日~同年12月19日の81日間)。(4)当該科研課題に関わる和漢比較研究上、重要と思われる中国語論文2点の翻訳をまとめ、それらを含めた成果の一部を、著書(単)『和歌の詩学―平安朝文学と漢文世界―』として公刊する準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね、順調に推移しているが、当該テーマが孕む検討事項の広範化に鑑み、分野横断的な多様な観点からの検証の必要性と、これに伴う膨大な資料捜索など、さらに整理検討すべき諸課題を前に、改めて、論点の絞り込みや課題解決のための手法論的熟慮・再検証が求められている。こうした諸課題はあるが、次年度までに、科研課題に関わる成果の中間報告を兼ねた著書の出版の見通しができた(平成26年6月刊行予定)。
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今後の研究の推進方策 |
韓国における15世紀・朝鮮王朝による勅撰詩歌集の事例に続き、同じく漢字・儒教文化圏である、ベトナム・ハノイの漢文チューノム研究所での調査を推進すること。また、勅撰和歌21代集に付せられた仮名・真名序の注釈の作業を加速し、最終年度の完成を目指してさらに努力しなければならない。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた図書が年度内に購入できなかったために、25年度使用額に若干の余剰が生じた。 剰余分については、繰越金とあわせて、次年度の図書等の物品費に充当する。
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