アフリカ人奴隷とその子孫たちによって語り継がれてきた西アフリカ、アカン族の神話に由来するカリブ海地域の民話、Anancy Storiesは、子供向けの物語であり、一般的に被植民者の間では「価値のないもの」として認識されてきたが、旧英領カリブ海地域出身の現代作家たちは敢えてそのAnancy Storeisを作品に取り込み、抵抗や反逆心を「笑い」で偽り装うことで生き抜く術を探り、脱線と迂回を繰り返しながら強者(支配者)を欺こうとする弱者(被植民者)を体現するアナンシーの物語に秘められた語りの芸術を植民地主義への文学的カウンターアプローチとして創造的に用いていることを明らかにした。
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