研究課題/領域番号 |
25370345
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
坂内 徳明 一橋大学, 名誉教授 (00126369)
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研究分担者 |
鳥山 祐介 千葉大学, 文学部, 准教授 (40466694)
金澤 美知子 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 教授 (60143343)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウサーヂバ文化 / 貴族屋敷 / 近代ロシア文学 / ランドシャフト / 貴族文化 / 個人蔵書 / ダーチャ / アンドレイ・ボロトフ |
研究実績の概要 |
平成25年度から27年度までの三年にわたって行われた本研究が対象としたウサーヂバというロシア語は、通常、貴族屋敷と翻訳されることから、建築・建物・領地等の「物理的」意味のみを示すという誤解を生むケースが多いが、そうではない。ウサーヂバは18~19世紀さらに20世紀初頭までのロシア近代を理解する上で欠かすことのできないきわめて重要な文化現象であり、本研究は文学・歴史・芸術等の広範な分野におけるウサーヂバの文化史的意義の考察を目的としたものである。この目的に従って、研究代表者、分担者ならびに協力者は、全体として人数が十分とは言えなかったとはいえ、きわめて密な連絡と協力体制を構築し、各自が具体的に調査する分野を相互に共有しながら多くの成果をあげることができたと言える。すなわち、現地ロシアで複数回の調査を実施し、ロシアの関連分野の研究者と緊密な情報交換ならびに今後の研究協力の方向性を得ることができた。さらに強調すべきは、27年度末に刊行した研究成果報告書『近代ロシア文学創成の環境』(178p.)である。ここには、上記代表者と分担者に加えて、当初予定していた協力者にさらに二名の研究者の仕事も加えて、全体で12本の論考・資料を収録している。そこでは、18~19世紀ロシア貴族文化を考える上で重要なA.ボロトフ、N.カラムジン、G.デルジャーヴィン、A.オレーニン、ストロガノフ家等々の人々とウサーヂバ文化との関わりについて、これまでの日本ではまったく見られなかった多くの側面が明らかにされている。本研究の対象となったウサーヂバ文化研究の方向性が本国ロシアの研究者も含めて今後のロシアの人文学研究全体に大きな示唆を与える可能性を示すものである。
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