研究課題/領域番号 |
25370519
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
堤 良一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (80325068)
|
研究分担者 |
岡崎 友子 東洋大学, 文学部, 准教授 (10379216)
長谷川 哲子 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (20368153)
松丸 真大 滋賀大学, 教育学部, 准教授 (30379218)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 指示詞 / 方言 / 現場指示 / 記憶指示 / 長崎 / 台湾 |
研究概要 |
本年度の研究経過は以下のとおりである。 7/11日~7/13日 長崎大学にて調査を行った。指示詞の方言差として、ア系列指示詞の経験に基づかない使用が指摘されており、これが現場指示詞の使用と相関するかどうかを調べるために長崎大学の学生70名に対して調査を行った。この結果、いわゆる肥筑方言と言われる地域では、共通語の指示詞の使用とは全く異なる形でア系列指示詞が使用されていることが分かった。しかしながら、これが具体的にどのような違いであるかまでは分からなかった。 現場指示の使用については、岡山大学で10月から11月にかけて、岡山、鳥取、島根、愛媛、長崎出身の大学生に対して調査を行った。条件を統一し、データを増やし、統計的な処理をかけるためにそれぞれの地域50名以上のデータを取る予定であるが、準備段階の調査である。まだデータが十分ではないが、それぞれの地域で現場指示詞の使用に差があるようである。 3/12日~13日にかけて、岡山大学にて長崎方言話者に対する聞き取り調査を行った。これは研究分担者、松丸氏と共同で行った。この結果、肥筑方言のア系列指示詞に対して示唆的なことが分かったので、この情報をもとに調査票を作成し、まず数名にパイロット調査を行う準備をしている段階である。なお、研究成果の公表に関しては、岡﨑友子氏が論文を1本、岡﨑氏、堤が学会での発表を1本ずつ、岡﨑氏、堤がシンポジウムでの講演を各1本行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 現場指示の調査についてはパイロット的な調査を行い、調査方法の妥当性を検討することには概ね成功していると考える。今年度中に各地で統計処理にかけられる程度の数のデータを収集し、データの整理に取り組むことができれば、ほぼ計画通りに進むであろうと考える。 2. 一方、現場指示との関連を見るための長崎方言の調査においては、昨年度の調査で、共通語の指示詞の使用とはかなり異なる使い分けがなされていることが判明したため、調査項目を再検討しなければならなかった。被験者を集めたり、時間の調整をしたりするために少し時間がかかってしまい、やや遅れている感がある。 3. 一方、研究成果公開については、岡﨑氏、堤を中心にいくつかの学会で発表、および論文として公表している、あるいは公表予定であり、松丸氏、長谷川氏についても個別に論文を準備中である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は海外での調査を行う。まず、4月に二項対立の指示詞体系を有する中国語話者が、日本語の指示詞をどのように使い分けているかを調査する。このことにより、母語話者との違い、習得の問題、あるいは空間認知の仕方など、様々な問題を浮き彫りにしたいと考えている。 さらに、上述の長崎方言についての調査を7月頃に行う予定である。すでに前年度3月に新たな調査項目を作成、パイロット調査を始めており、微修正を行った上で本格的な調査にかける準備を行っているところである。 そして、現場指示の調査については、調査方法の統一を行った上で、各地50名ずつを目指して随時調査を行っていく。今年度の調査予定地は関西、関東、中国地方である。これらの結果を統計処理を行いそれぞれの地域で指示詞の使い分けに差があるかを明らかにしていく。さらに時間的に可能であれば九州(肥筑方言)や四国(愛媛)などの調査も行っていきたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究分担者(長谷川哲子氏)においては、当初調査、学会参加等予定があったが、やむを得ない事情が出来し、十全な研究協力に至らなかったため。 繰越金については、長谷川哲子氏において、今年度の研究費として使用する。
|