研究課題/領域番号 |
25370531
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
石井 久雄 同志社大学, 文学部, 教授 (70124188)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 辞典 / 全用語 / 全事例 / 蜻蛉日記 |
研究概要 |
『蜻蛉日記』の全用語(自立語)について意味用法を整理し,その全事例を挙げる辞典を作成することが,研究全体の目標である。全用語の全意味用法を挙げた辞典として,源氏物語のもの,万葉集のものがあるが,全事例について逐一意味用法を記述した辞典は,ない。意味用法の精細な定性的・定量的な記述を,一作品に総合的に行うことは,言語史に寄与するところが大きい。この目標を達成するために,本年度は次の作業を進めた。 ・ 本文の選定および用語分割 ―― 木村正仲・伊牟田経久『新編日本古典文学全集 13 土佐日記 蜻蛉日記』(1995年,小学館)の本文が便利であるので,それを基本として,コンピュータ処理に適した本文を作成した。その本文から用語一つ一つを取得して記述するために,本文を用語に分割した。用語は自立語とするので,ほぼ文節への分割である。約23,100の分割を終了し,整列すれば簡略な文脈付き用語索引KWICになる形式でまとめた。 ・ 用語の意味・用法の記述 ―― 整列前KWICの形式から一つの用語の全事例を集め,事例一つ一つに意味用法の記述を加える,という作業を開始した。用語ごとには,研究が目標とする辞典の粗稿となっている。それを集積して再び用語および意味用法で整理すれば,目標の辞典に至ることになる。用語数は異なり4000前後と見ていて,その1/4に相当する約1100語を検討し,延べすなわち全事例の1/3に相当する約7200件の意味・用法を整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の計画調書を作成した際には,意味用法の記述を2年次に本格化させる計画であった。それに対して,用語への分割が予定より順調に進み,意味用法を記述する時間が取れたので,処理した結果も,試験的というところを越えている。全体的には順調以上とも見えるが,本文自体を検討する必要を認識しながら,踏み込むことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
3年計画の2年次に,1年次の2倍の事例について意味用法を記述し,累積で処理事例数20000以上にもってゆきたい。当初の計画では,意味用法の記述を2年次・3年次に分散させることとしていたが,用語間の記述を調整する必要があり,それを3年次の中心とすることとして,記述の粗稿を早めに作成するように計画を変更する。ただし,出現頻度1という用語は全体で半数であると見込まれ,その記述は効率的には進めることができないので,もたつくかもしれない。 なお,本文自体については,大きな変更はないと予想しているが,批判のための有力な資料が1年次末に公刊されたので,2年次を中心として検討を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
本文批判のための有力資料が公刊されるのを待機していたところ,公刊が年度末になって,購入できなかった。また,その資料による作業を行わず,謝金を支出しなかった。 次年次に資料を購入し,関係する作業を進める。
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