最終年度である平成28年度は、第四の研究課題「パフォーマンステストとCan-do 調査の多値データを拡張項目応答モデルにより特異機能分析(DIF 分析)を行い、学習上・指導上の課題を明らかにすること」に取組んだ。 ①パフォーマンステストとして「書くことに関する調査」(国立教育政策研究所、2012)のライティングテストの調査Aと調査Bの多値データと生徒への質問紙調査AとBの多値データについて拡張項目応答モデル(段階反応モデル)を用いたDIF分析を行った。CAN-DO 調査としては「CEFR-J」の多値データに対して、同じくDIF 分析を行った。 ②「書くことに関する調査」のライティングテストでは、性別及び学校の所在地域・校種(公立、国私立)別によって英語力は同等でも回答状況に差異のある項目はないかを検討した。その結果、性別ではDIF項目は見つからなかったが、学校の所在地域・校種では複数の項目にDIFが見られた。国私立と公立で差異の見られる項目が複数ありその原因を検討した。また、生徒への質問紙調査では、性別ではDIF項目は見られなかったが、学校の所在地域・校種別では、国私立と公立町村部との間に英語学習が自分の将来にとってどのような効果が期待されるかについての複数の質問項目についてDIFが検出された。「CEFR-J」のCan-do調査の多値データを校種(中学、高校、大学)×性別(男、女)でDIF分析したところ、5つのスキルのいずれにも複数のDIF項目が検出された。 ③パフォーマンステストとCan-do調査のDIF分析結果をもとに、学習上・指導上の課題を検討した。
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