本研究は西アジア銅石器時代(約7~6千年前)の工芸技術の解明を目指した。成果として、銅石器時代中頃(ウバイド期)の彩文土器の顔料は鉄を主体としてカリウム(植物灰)も含むことがわかった。また、後期銅石器時代(ウルク期)の粗製無文土器は低温(約450℃以上)、ウバイド彩文土器は高温(約900℃以上)、ハラフ・ウバイド過渡期の彩文土器や後期銅石器時代の灰色磨研土器は比較的低温帯(約800~900℃)で焼かれていたことを明らかにした。さらに、土器焼成実験により日干しレンガと牛糞藁燃料の組み合せが窯の保温に効果的であることも確かめた。本成果は現代につながる古代の工芸技術の解明に貢献するものと予想される。
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