シリア・アラブ共和国の中央に位置するパルミラは前1世紀から紀元後3世紀に開けて交易都市として栄えたが、その美術的特徴は墓に設置された個人肖像、石棺、葬礼の彫像などに顕著に見られる。 本研究において、シリア以外のイタリア、トルコ、ロシアの博物館に所蔵された彫像をあらたに見いだし、デ-タを得ることができた。さらに墓の中心的彫像である饗宴図像の精査により、主なる人物がもつ容器を実物と同定し、同じ形の容器が金属、陶器、ガラスで制作され、パルミラではガラスや金属製が使われていた可能性を示唆した。また、饗宴図像の中心人物が履く履物について、その東方的影響について具体的に提示した。
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