本研究では、古代東アジアにおける櫛の系譜と用途を検証した。特に副葬品としての櫛に着目して、古代東アジアにおける葬制の一端を解明することを試みた。東アジアにおいて櫛を副葬する習慣は広く見られる。それらには時代と地域によって異なる様相を確認できる。本研究では、日本列島において古墳時代に行なわれる櫛(竪櫛または複材型の櫛)の副葬が日本独自のものであり、当時の日本列島における葬制と深く関わることを示した。5世紀には韓半島南部、加耶地域に同じ櫛の副葬事例があるが、それは当時の韓半島には見られない櫛であり、副葬方法であった。
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