研究課題/領域番号 |
25380055
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
佐藤 雄一郎 熊本県立大学, 総合管理学部, 講師 (30572953)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発達障害 / 医療と法 / 障害者の人権 / 教育を受ける権利 |
研究概要 |
本研究は発達障害を有する患者さんの具体的症状・性質を十分に理解した上で進めていく必要があるため、研究開始年度である平成25年度は長崎大学医学部精神神経科学教室のご協力をいただき、発達障害に関する最新の医学的知見の習得に重点を置いた研究を行った。具体的には、平成25年4月以降、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の小澤寛樹教授、今村明准教授、岩永竜一郎准教授そして山田聖剛氏にご協力いただき(また脳科学からの知見については長崎総合科学大学の澁谷顕一准教授に御教示いただいた)、発達障害を有する患者さんの具体的症状や特質(特に大学生や成人期での特徴等)や診察・診断の仕方およびその難しさ(特に統合失調症と広汎性発達障害との区別の難しさ等)、医学的見地からの支援の在り方(隙間を埋めるチ-ム力の重要性)等について、貴重なお話を伺う機会を設けていただいてきた。記して謝意を表する次第である。また同時に、発達障害に対する理解と支援が進んでいるアメリカの事情を理解すべく、発達障害に関するアメリカの専門書を読み進めた。それらを通じて得た知見を踏まえて、大学において発達障害を有する学生に対して支援する際に実際に生じている問題点と、それに対して法律学がいかに応答すべきかという点についてまとめた「大学における発達障害のある学生への支援と法律学の課題」(「法学(東北大学)」第77巻第6号69頁から91頁)を平成26年1月に発表させていただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は発達障害を有する患者さんの具体的症状・性質を十分に理解した上で進めていく必要があるため、研究開始年度である平成25年度は長崎大学医学部精神神経科学教室のご協力をいただき、発達障害に関する最新の医学的知見の習得に重点を置いた研究を行ったが、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の小澤寛樹教授、今村明准教授、岩永竜一郎准教授そして山田聖剛氏のご協力により、医学的知見の習得については、予想以上に進展した。記して謝意を表する次第である。ただ、所属大学が変更した影響等もあり、研究発表の数が論文1編にとどまってしまった点がマイナス要素として挙げられる。今年度は、その反省を活かして、研究発表の数を増やしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科の小澤寛樹教授、今村明准教授、岩永竜一郎准教授そして山田聖剛氏のご協力をいただき、発達障害に関する最新の医学的知見の習得に努めていくとともに、それを踏まえて、発達障害を有する学生に対する支援の場で生じている個別具体的な諸問題について、実際に支援にあたっている皆様のお役に立てるように、法律学、特に憲法学の視点からアプローチしていく。特に、「教育を受ける権利」からのアプローチ、「子どもの人権」からのアプローチ、「障害者の人権」からのアプローチに重点を置いた研究を進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究初年度である平成25年10月に、所属大学が長崎総合科学大学から熊本県立大学に変更になった。その影響で、平成25年8月から12月にかけて研究が進められない期間が生じてしまい、その間に開催された発達障害関連の学会に参加できず、旅費が使えなかったり、購入を予定していた専門書の購入ができず、物品費余ってしまった。 今年度は、昨年度のような研究環境の変化はないので、当初の計画通り、発達障害に関連する学会にも積極的に出席し、また発達障害に関する専門書も予定通り購入し読み進めて、着実に研究を進めていく予定である。
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