研究課題/領域番号 |
25380155
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上川 龍之進 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40346656)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 金融危機 / 中央銀行 / 不良債権 / 金融政策 / 信用秩序維持政策 / 政府債務危機 / バブル / 専門知 |
研究実績の概要 |
本年度は、第一に、前年度に引き続き、世界金融危機および政府債務危機に対する欧米諸国の政府・中央銀行(ユーロ導入国の場合、ECB)の政策対応の内容、およびそうした政策対応が決定された過程について、文献、雑誌・新聞記事を収集・整理し、その精読を進め、事実関係を正確に把握することに努めた。読まなければならない文献・資料が多く、まだ読了できていないため、来年度も引き続き、この作業を進めていく予定である。 第二に、政策決定における専門知の役割についての研究も進めた。経済政策決定過程に関わる専門知には、経済学などの学問知と、政策当局の経験知(現場知)とがあり、後者には過去の経験と海外の経験とがある。経済学者の分析では、学問知の観点から政策のよしあしが判断され、なぜ適切な政策が実施されないのか、規範的な観点からの批判がなされることが多い。だが、学問知によってしても唯一の正しい政策が導かれるわけではないし、政策当局者の経験知(現場知)からして、学問知によって導かれるのとは異なる政策が適切だと判断され、採用される場合がある。そのことを1990年代以降の日本銀行の金融政策をめぐる論争の検討を通じて分析した論文を執筆した。これは「公共政策の総論的分析」に関わる研究ではあるが、本研究においても大きな意味を持つ研究であり、各国の政策対応について分析するうえでも有効な枠組みだと考えている。 第三に、2013年以降の日本銀行の金融政策についても、資料の収集・整理を行い、検討を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の分析枠組みとして有効な概念と考えられる「公共政策における学問知と経験知」に関する論文を公刊できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度も、本年度に引き続き、欧米諸国の政府・中央銀行による世界金融危機および政府債務危機への政策対応の内容、およびそうした政策対応が決定された過程について、事実関係を正確に把握することを目的として、文献、雑誌・新聞記事を精読していくとともに、論文の刊行を目指して、研究を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外の研究者の助言を得るための海外出張および資料収集・整理のためのアルバイトの雇用を予定していたのだが、前者については、他の仕事が忙しくて日程調整ができず、海外出張ができなかったため、後者については、アルバイトの学生との日程調整が難しく、予定していたよりも少ない時間しか雇用できなかったため、次年度使用額が生じることになった。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、今年度予定していた海外出張を行うとともに、資料収集・整理のためのアルバイトを雇用する予定である。
|