研究課題
本研究の目的は、先進国との比較の観点から、1990年代から2000年代にかけての日本政府・日本銀行の金融危機管理政策について、政策決定過程の分析を行い、その政策効果を検証することであった。その主たる成果としては、第一に国際共同研究として、2007年以降、深刻化した世界金融危機および政府債務危機が、先進国(アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・ベルギー・オランダ・イタリア・スペイン・ギリシャ・カナダ・日本)の経済・金融システムにどのような影響をもたらしたのか、また、こうした危機に対して、政府・中央銀行(ユーロ導入国の場合、欧州中央銀行〈ECB〉)がどのような政策対応を実施したのか、その効果はいかなるものであったのかを検証し、なぜ、そのような政策対応がとられたのかについて分析を行った論文集を2013年に公刊したことである。筆者は日本について担当し、日本政府・日本銀行の世界金融危機への対応や、他国との違いについて分析を行った。そこでは日本が他の先進国に先んじて1990年代に金融危機を経験したことの重要性を明らかにした。第二に、1990年代から現在にかけての日本銀行の金融政策決定過程について分析した単著を2014年に公刊した。そこでは日本銀行が法的独立性を高めたにもかかわらず、経済停滞により、政治からの独立性を低下させていった過程を明らかにした。第三に、政府債務危機の比較研究の観点から、日本の財政赤字の政治的要因についても分析を行い、2016年に論文を公刊した。これらの研究を通じて、日本の政治経済システムの問題点が一定程度明らかにできたと考える。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
『問題と研究』
巻: 45巻4号 ページ: 53-98
Social Science Japan Journal
巻: Vol.19, No.1 ページ: 33-58
https://doi.org/10.1093/ssjj/jyv030