本研究では、三つの研究成果を達成した。第一は現代社会における代表制民主主義の正統性の危機の要因をグローバル・リスクの観点から明らかにした点である。第二は代表制民主主義を相対化する形で生成している、「新たな民主主義」(熟議システムと直接民主主義)をめぐる言説の配置を、正統性の観点から考察した点である。第三は様々なタイプの民主主義間の関係を考察し、その節合から正統性を調達する民主主義論を提示した。 これらの考察によって低下する代表制民主主義の正統性を補う、様々な民主主義のコンステレーション(配置)理論の考察の基礎を構築することができた。
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