構造モデルを用いた電力小売市場の実証分析は,二段階で行った.第一段階として,静学的に枠組みで入札関数を導出し,その結果に基づき,構造推定を行う.第二段階では,以前の落札結果に基づいて,入札参加企業が背景に持つ供給予定を明示的に考慮しつつ,将来の電力供給に対して入札を行うという意味で,動学的な枠組みの分析枠組みを提示する.この動学的枠組みにおいても,静学的な枠組みで導出した入札関数を利用している. また,非線形パネルデータモデルにおける付随パラメーターバイアスの削減については,推定量を漸近展開することで明示的にバイアス項を提示し,バイアス削減の効果をモンテカルロ実験で確認した.
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