本研究は、人口成長率がマイナスである経済において、貿易パターンと経済成長率の関係を分析したものである。自国が小国開放経済であり、大国である世界と貿易をする場合と、大国である自国が大国である外国と貿易をする場合の双方を分析した。自国と世界の人口成長率の大小関係、あるいは自国と外国の人口成長率の大小関係に応じて、長期的な貿易パターンが規定され、その貿易パターンにおける長期の1人当たり産出の成長率は、人口成長率がマイナスであっても、正となるという結果が得られた。これは、人口成長率がマイナスであるということが、経済成長の減速につながるわけではない、ということを示唆している。
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