本研究では,日本とドイツ語圏の幼児・児童を対象に書字課題および図形の描画課題を実施し、図形の描き方にみられる文化差と書字技能の発達との関連を検討した。また、利き手の違いによる描き方の差違も検討した。結果から、幼児では図形の描き方に文化差はみられなかったが,児童では文化差がみられた。児童の書字レベルは幼児よりも高かったことから、小学校入学とともに書字技能が向上し、文字の書き方を図形の描画にも適用するため、描線動作に文化差が生じたと考えられる。また、利き手の違いによっても図形の描き方は異なることが示唆されており、描線動作は書字技能と同時に利き手によっても影響をうけることが示された。
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