研究実績の概要 |
本研究の目的は、①LTD基盤型授業モデルの構築と検証、②教師教育の実践、研究協力校への支援、③LTD基盤型授業モデルによる高大接続教育の具体化と実質化についての提言、であった。 目的①に関して、初年次教育科目を対象としたLTD基盤型授業モデルを構築し、その有効性を検証できた(安永, 2016;安永・須藤, 2014)。さらには、この授業モデルを基盤とした大学専門科目(実験・実習などを含む)の授業づくりの提言を行い、実践的研究を展開している。 目的②に関しては、2013~15年度の間、筆者主催の「授業づくり研究会」を18回開催した(3回の「協同教育フェスタ」を含む。安永悟研究室のHP)。授業づくり研究会には、毎回、九州を中心に全国から平均50名程度の参加者があり(協同教育フェスタの場合は70名を越える)、高等教育関係者が約6割、初等・中等教育関係者が約4割であった。15年度後半からは高校教員の参加が増えてきた。この間、協同学習に対する関心が高まり、2015年度は全国から40件を超える研修・講演の依頼があった。特に、2015年度末から高校からの依頼が多くなった。。 目的③に関しては、LTD基盤型授業は高校にも適応可能であり、高校での実践的試みが成果をあげつつある(安永・岡田 準備中:石山ら 2015)。 これらの研究成果を通して、LTD基盤型授業モデルに基づく高大接続教育を成功させるには、協同学習の理論や技法を教師が理解する必要がある。高校時代にグループ学習を経験した学生が大学に入学してきているが、彼らの多くはグループ学習に対して悪いイメージをもっており、経験したグループ学習の質の低さが明らかになっている。LTD基盤型授業モデルを中核にすえた高大接続教育を考える際、教師教育こそが、喫緊に解決すべき最も大きな課題と認識している。今後の研究課題として、継続した検討を続ける。
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