研究課題/領域番号 |
25381037
|
研究機関 | 高崎商科大学 |
研究代表者 |
下山 寿子 高崎商科大学, 商学部, 教授 (30287908)
|
研究分担者 |
菅原 亮芳 高崎商科大学, 商学部, 教授 (40348149)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 教育病理 |
研究実績の概要 |
(1)平成25年度、26年度における研究作業を通して、「教育病理」というタームだけでなく「教育病理学」という研究分野に着目することが重要であることが判明した。従って、「教育病理学」という研究分野の移入・普及過程を追求することが大切であるということを、その研究成果のひとつとして示した。 (2)「教育病理学」という研究分野が、様々な変遷過程を辿り、「教育病理学」というタームが登場し衰退するなかで、その研究分野がどのように扱われ、どのように変容していったかが重要である。 (3)また、「教育病理学」が研究対象とした劣等生や学業不振時などのキャリア意識形成に関する情報の分析も必要であることが判明し、その基礎的作業として明治10年代から昭和戦前期までを時期対象として、「職業案内書」の目録化とデータベース化につとめた。 (4)これらの作業を通して、言説空間において「教育病理学」「教育病理」がどのように変遷していったかについて、それらにかかわる「情報」を分析することを通して明らかにすることが重要であることが判明した。 (5)とりわけ「教育病理」というタームは、現在でも社会問題を語る言説の中に多用される。しかしそれは、多くの変遷を含むものであるとすれば、その変遷の背後には多様な教育の現実の姿があったはずである。それらを解明することが、日本近代教育問題史の一背景をてらす可能性があるのではないかということがわかってきた。 (6)先行研究においても、以上の点の解明が不十分な状況であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(2)とした理由は、以下の通りである。①研究実績の概要で記したように、日本における「教育病理学」「教育病理」の変遷過程に関する研究というテーマを実行する上で、雑誌メディアの記事と整理は極めて重要である。②平成26年度は、医学関係の雑誌の探索を行ったが、膨大な量のためさらに継続研究が必要となっている。③『神経学雑誌』や『中外医事新報』も加えながら、『東京医学界雑誌』の目次及びその記事のデータベース化を継続してゆく。④論文の構成は、大まかにプロット化できている。⑤①~③までと連動した形で、資料集づくりが進行中である。
|
今後の研究の推進方策 |
前年度の研究を踏まえ、以下のように本研究課題を推進したい。①今年度は、研究の折り返し年度として位置づけ、その上で過去2年間の研究を、次のような角度から中間総括したい。第1の角度は、教育学・教授学ないし教育心理学と医学。第2の角度は、「教育病理学」と「教育病理」。それらを学術的タームの事実史と意味論的思想の検討と「教育病理」の普及と意味の検討を行う。②また、今後の研究の知見を得るため、その成果の一部を論文あるいは学会で発表したい。③さらに、前年度までの対象雑誌の内容分析を深化させた研究を展開したい。④他方では、「教育病理学」に着目した研究者・実践家を学説史の観点から整理したい。
|