研究課題/領域番号 |
25381247
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
松元 新一郎 静岡大学, 教育学部, 教授 (40447660)
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研究分担者 |
久保 良宏 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80344539)
熊倉 啓之 静岡大学, 教育学部, 教授 (00377706)
早川 健 山梨大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (40585387)
青山 和裕 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (10400657)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 統計指導 / カリキュラム / 初等教育 / 中等教育 |
研究概要 |
本研究の目的は,統計指導先進国のカリキュラム・教科書・授業を収集・検討し,日本のカリキュラムに合った統計ソフト開発,教材開発と実践を通して,初等中等教育における統計的思考力を育成する統計カリキュラムの開発を行うことである。平成25年度は,科研全体会を2回開催して研究発表・情報交換を行うと共に,主として次の5つの視点で研究を進めた。1つ目は,生徒の統計的思考力の実態調査であり,中1から高2の生徒(計4000余名)を対象に,生徒の統計的思考力を評価する『「資料の活用(統計)」の学習に関する調査』を実施し,分析を行った。分析と考察は,日本数学教育学会(秋期大会)で発表予定。2つ目は,教師の統計指導の意識調査であり,高等学校「数学I」における「データの分析」の指導を行った教師に対して,統計に関する意識(教師自身の統計的素養,統計指導の経験など)や統計の指導の実際について意識調査を実施した。分析と考察は,日本数学教育学会(秋期大会)で発表予定。3つ目は,情報公開・議論の場の設定であり,日本科学教育学会・年会において,課題研究「初等・中等教育における統計的思考力を育成する実践研究と統計のカリキュラム改革に向けて(2)」を企画・運営・研究発表して研究の進捗状況を公開・議論を行った(「研究発表」を参照)。4つ目は,海外渡航調査であり,初等・中等教育段階において統計指導先進国であるニュージーランドに渡航し,教育省・国家統計局の関係者から情報を入手するとともに,数学教育関連の学会・年会に参加して統計指導の動向および教科書の状況を入手した。平成26年度に第2回渡航調査を予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
科研の申請段階において,第1年次(平成25年度)は,「教師の統計指導の意識調査及び生徒の統計的思考力の実態調査」「高等学校教科書分析」「統計指導先進国のカリキュラム・教科書・授業記録の収集・分析」であり,1つ目と3つ目についてはほぼ計画通りに研究が進んでいる。2つ目についてはまだ進んでいないが,その代わり,第2年次に行う予定であった「小学校と中学校,中学校と高等学校の接続を意図した教材開発と実践」の研究において,中学校・高等学校の研究授業と研究協議を行い,現行カリキュラムの問題点・改善点について議論を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.高等学校教科書分析:研究分担者・研究協力者で分担して,「数学B」の各社の教科書について,教材の内容・量・配列やコンピュータの使用状況などを分析・比較し,考察を加える。 2.教師の統計指導の意識調査及び生徒の統計的思考力の実態調査:第1年次(平成25年度)で実施した2つの調査を分析・考察して,学会等で発表する。 3.統計指導先進国のカリキュラム・教科書・授業記録の収集・分析:オーストラリア,ニュージーランド,イギリスなど統計指導先進国のカリキュラムや教科書を収集して分析を行い,教材開発やカリキュラム開発の手だてとする。また,海外現地視察を実施して初等・中等教育の授業を観察し,教材・指導法・ICT活用などの視点で分析・考察を行い,日本における統計指導の改善の示唆を得る。 4.統計ソフトの開発:初等教育段階で教師や児童が簡易に利用できる質的データに関わるグラフ(棒,折れ線,円,帯グラフ等)の統計ソフトを開発する。なお,これまでのソフトウェアはマウスでの利用を想定していたが,学校での電子黒板やタブレットPCの普及が進むとともに,電子ペンや指を使ったシンプルで直感的な操作の需要が高まっている。これらの背景から,操作性を向上させた統計ソフトを制作する。開発した統計ソフトを活用した授業実践を行い,統計ソフトを検証し修正をかけた上で,無料で公開する。 5.小学校と中学校,中学校と高等学校の接続を意図した教材開発と実践:小学校と中学校,中学校と高等学校の接続を意図したカリキュラムや教材開発の必要性から,研究授業実践及び考察・評価を行い,初等教育及び中等教育における統計指導の改善とカリキュラム開発に向けた手立てとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度使用を予定した物品等について,他の予算から充当することができたため。 次年度において,研究遂行に必要な物品を購入予定である。
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