研究課題/領域番号 |
25381262
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 鳴門教育大学 |
研究代表者 |
頃安 利秀 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40234926)
|
研究分担者 |
綿引 勝美 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (80144559)
余郷 裕次 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (90191535)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 声とからだ / 息と姿勢 |
研究概要 |
まず学部の教科専門科目「初等音楽I」の授業で,102名の小学校教員志望の学生に声と姿勢についてのアンケートを実施した。その結果,90%以上の学生が「学校教員のための声の出し方について学ぶ必要がある」と回答したほか,教員にとっての声や姿勢の大切さが明らかになった。 次に大学院の授業,広領域コア科目「教師のための声とからだとことば」の受講生の中から10人を選び,授業が始まる2カ月前に,朗読時の声と姿勢を録音・録画し,この授業がすべて終わった後,再度朗読の録音・録画を行い,授業前の録音・録画と比較した。しかしその結果には差はほとんど見られなかった。これまでどおりの授業方法では,個人の発声や朗読を改善することはできないことが明らかとなった。しかしこの実験により,声と息,また声と姿勢の関係性が見えてきた。 人間と演劇を研究している研究者を招き,学生及び教員を対象に「声とからだ」のワークショップを開催した。ここで見えてきたことは,前に出ていなかった声が,からだが解放されることにより,前に飛び出していくという現象であった。また声の大きさと声の到達力とは同じではないことも見えてきた。まだ検証はできていないが,からだが硬い状態,力が入った状態の時には,声の音量は大きく出せたとしても声を遠くに届けるためには必ずしもいいとは言えないことが認められた。 文献「伝統と文化29号」(ポーラ伝統文化振興財団)の中で,日本の伝統芸能における発声は,腹式呼吸が基本であることが語られている。直接伝統芸能の演者にインタビューするという形で作成されたものであるが,日本の伝統芸能における声の真髄を知ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度では,現行の授業の分析と,所属大学における教員を目指す学生の声や姿勢を確認することと,これからの研究方向を再構成することが主な目的であったが,それらがおおむね達成できた。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の研究において,声と姿勢,また姿勢と息の関係が不可分であることが明らかとなってきたので,今後は姿勢と息のトレーニング方法,また声と姿勢と息をつなげる方法を検討し,これらを授業の中に導入し,その効果について研究していく。 また現職教員を対象に,アンケート調査により声や姿勢についての問題点を明らかにし,教員の抱える声のトラブルの解決についても検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していた音声分析ソフトが,フリーソフトで十分代用できることがわかったため,購入する必要がなくなったことと,資料収集のための旅行が近場で済んだこと,外部講師を3人予定していたのが,1人だけになったことが主な理由である。 今年度は,ビデオ記録をより多面的に行うためのAVミキサーとマイクロフォンの購入と,「声」に関するパフォーマンス研究のための旅費,また昨年度できなかった外部講師の依頼と,研究記録を取るための協力者への人件費と謝金等に使用する予定である。
|