研究実績の概要 |
当研究では、数論的な多様体のL関数の特殊値と、それを記述すると予想されている周期やレギュレーターという幾何的な不変量を、一般超幾何関数を用いて研究する。そしてGross-Deligneの周期予想やL関数の特殊値に関するBeilinson予想などに応用するというのが研究の目的である。 2014年から始めた朝倉政典氏(北大)との共同研究では、我々が定義した「超幾何ファイブレーション」というクラスの代数多様体の族から定まるモチーフの周期、およびレギュレーターを研究している。以前の研究 [1] [2] では、おもにモチーフが虚数乗法をもつ場合に、レギュレーターを超幾何関数の1での特殊値で記述していた。今年度の研究ではその「関数版」、つまり、変数をもつ超幾何ファイブレーションのレギュレーターを、同じ変数を持つ超幾何関数そのもので記述するという研究を行った。この場合、1以外での値は虚数乗法をもつとは限らないモチーフのレギュレーターになる。 またモチーフの拡大が代数的サイクルから来る場合、レギュレーターは代数体の古典的な単数規準で表すことができる。結果として、超幾何関数の特殊値を代数的数のlogで表す公式(朝倉氏、寺杣友秀氏との共同研究)、及びその関数版(朝倉氏との共同研究)が得られた。以上の結果については研究集会等で発表し、論文を準備中である。 [1] M. Asakura and N. Otsubo, CM periods, CM regulators and hypergeometric functions, I, Canad. J. Math., Online First. [2] M. Asakura and N. Otsubo, CM periods, CM regulators and hypergeometric functions, II, submitted.
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