研究課題/領域番号 |
25400021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
杉山 和成 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (90375395)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 概均質ベクトル空間 / 保型超関数 / 実解析的保型形式 |
研究概要 |
放物型概均質ベクトル空間の理論の実解析的保型形式の研究への応用を考察した。放物型概均質ベクトル空間は、対称空間の境界にあたるものと考えられる。そこで、保型形式の「境界値」にあたるものが、放物型概均質ベクトル空間の上に定義できるが、これは「保型超関数」と呼ばれるものになる。(概均質ベクトル空間の保型超関数の理論は、対称行列の空間の場合に、鈴木利明氏により研究された。)保型超関数は、フーリエ展開を持ち、離散群の作用に対しある種の不変性をみたす。その不変性を利用すると、保型超関数のフーリエ係数から構成されるエル関数が関数等式をみたすことが証明できる。以上が鈴木氏の結果であるが、一方で、概均質ベクトル空間の理論を用いると、関数等式をみたすゼータ関数が構成できる。本研究では、このゼータ関数を逆メラン変換することにより保型超関数を逆に構成すること、および、その保型超関数のポアソン変換像の研究を目標としている。ポアソン変換を用いると、境界値から対称空間上の関数が定まるので、この研究により実解析的保型形式が構成できることが期待される。そこで最も基本的な1次元の概均質ベクトル空間の場合について以上のプログラムを実行した。我々は、保型超関数に関する「逆定理」を定式化し、これとポアソン変換を組み合わせてマース波動形式に関する「逆定理」の新しい観点からの証明を得た。また、この新しい観点からの証明を指標で捻って、合同部分群に対するマース波動形式に対する逆定理を定式化した。さらに、上野隆彦氏らが研究した2次形式に関連する概均質ベクトル空間のゼータ関数が(2次形式の変数の個数が偶数のときには)この逆定理の仮定を満たすことを証明した。以上の結果については、2014年1月に数理解析研究所で開催された研究集会において概略を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2次形式に関連する概均質ベクトル空間のゼータ関数が逆定理の仮定を満たすことを確認できたのは一つの進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
2次形式の変数の個数が奇数であるときには、半整数ウェイトのマース波動形式が構成されるものと期待される。この場合を含む形で逆定理を拡張する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定では、国内の研究集会・セミナー等に参加し情報収集をするつもりであったが、大学における業務(委員会等)が想像以上に増加してしまい、出張に行く機会が激減してしまった。そのため出張旅費の分が次年度使用額となった。 2014年9月に立教大学で開催される国際研究集会に参加する外国人研究者の旅費および滞在費として使う予定である。
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