研究目標はJ.-P.セールが一変数モジュラー形式の場合に研究したp進モジュラー形式を多変数モジュラー形式、たとえばジーゲルモジュラー形式やエルミートモジュラー形式の場合に拡張しようとするものであった。詳細にのべると、セールの理論で重要な役割を果たしたテータ作用素の概念を、これらのモジュラー形式の場合に拡張し、その性質を研究した。この期間での特筆すべき成果としては、素数pについてテータ作用素のmod p核の概念を定義し、今まで知られていた井草のカスプ形式がこの性質をもつことを発見したことが挙げられる。
|