リアプノフ指数は力学系のカオスの度合を測る指標としてよく用いられている。しかし、リアプノフ指数の計算の困難な場合がしばしば存在する。そこで、以前に、力学系のカオスを測るための情報量を導入する試みが行われた。情報理論の観点から見れば、カオス現象は情報生成過程と考えられる。この考えに従って、カオス尺度と呼ばれるある情報量が導入された。 本研究では、主に、(1)古典離散系におけるカオス尺度の性質を示し、(2)カオス尺度による準周期軌道の取る扱い方法を確立し、(3)境界条件をもつ一般化多重パイこね変換の評価をカオス尺度により行った。現在、実験等により得られた時系列データのカオス解析を進めている。
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