研究実績の概要 |
Pt-Co、Pt-RuなどのPt系合金触媒は、高い耐CO被毒性や高い酸素還元反応活性を有するため、近年、単味Ptに代わる燃料電池用電極触媒として注目を浴びている。活性サイトや反応機構の解析には単結晶電極を用いた研究が必須である。本研究では、火炎溶融法によるPt系合金単結晶の簡便かつ安価な作製法の確立を目指すと共に、作製した合金単結晶表面のキャラクタリゼーションを低速電子線回折(LEED)、低エネルギーイオン散乱(LEIS)、走査型トンネル顕微鏡(STM)、X線光電子分光法(XPS)を用いることで、合金化による触媒性能向上メカニズムの解明を目指した。 本研究期間で、Pt-Co並びにPt-Ru合金単結晶(111)、(110)、(100)面の作製に成功した。特にPt-CoはCo35%までの任意の組成において単結晶の作製が可能となった。 作製したPt-Co合金単結晶はディスク形状に加工し、回転ディスク電極法により空気中の酸素還元活性を精密に測定した。その結果、Pt-Co(111)の酸素還元活性は、Co組成に強く依存することが本研究で初めて明らかとなった。他方、(100)、(110)面の酸素還元活性はCo組成に対してあまり依存しなかった。 窒素脱気中の表面酸化波の測定から、Pt合金電極触媒の高い酸素還元活性は、従来提案されてきたOH被毒の減少では説明できないことが明らかとなった。 Pt-Co合金単結晶の表面調製は、水素雰囲気下、約1,000℃で加熱して行った。この表面調製により、バルクと同じ原子配列を有する原子レベルで平滑なPtスキン層が形成することが、LEED、LEIS、STMによって明らかとなった。XPS測定からは単味Pt単結晶と異なる電子状態が示された。
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