カチオン性ポルフィリン類と二重らせんDNA (dsDNA)は様々な結合様式により錯体形成を行う。本研究では、数種類のカチオン性ポルフィリンとdsDNAとの相互作用とそのダイナミクスをCDの時間変化から検討した。かさ高い置換基を導入しても、カチオン性ポルフィリンはdsDNAへインターカレーションし、一方で、可視光(532 nm)のナノ秒パルスレーザーにより、ポルフィリンを選択的に光励起することで、誘起CDスペクトルに時間変化が現れた。この時間変化は、別途測定した過渡吸収スペクトルとの比較から、ポルフィリンの励起三重項状態の生成にともなう、基底状態ポルフィリンの減少に伴う変化であると判断された。
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