研究課題/領域番号 |
25410205
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
武 哲夫 東京都市大学, 工学部, 教授 (10554032)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 固体酸化物形燃料電池 / 高酸素利用率発電 / カソードの劣化による発電性能の低下 |
研究実績の概要 |
固体酸化物形燃料電池(SOFC)は高酸素利用率発電を行うことにより高温排熱を水素製造に有効利用することができ、SOFCを用いて高効率な電気と水素のコージェネレーションシステムの構築が可能である。そこで、SOFC単セルの簡易評価システムを構築し、酸素利用率が発電性能に及ぼす影響を測定した。また、発電性能に使用したSOFC単セルを分析することにより、高酸素利用率発電がカソードの劣化に及ぼす影響を検討した。I-V特性は、酸素利用率30~70%の範囲では酸素利用率の上昇につれてわずかに低下するだけであったが、酸素利用率80%では急激に低下した。また、電流密度0.3 A/cm2での120h連続発電試験を酸素利用率30%と70%で行ったところ、酸素利用率70%で活性化分極の増加による顕著なセル電圧の低下が見られた。酸素利用率70%での120h連続発電試験後のSOFC単セルのXRD分析とEDX分析を行ったところ、La2Zr2O7とSrZrO3の生成とアノードおよび電解質へのLaおよびSrの分布が認められた。これは、高酸素利用率発電によりカソードからLaとSrが電解質およびアノードに移動し、電解質のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)と反応したことを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に設計・製作した固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セyユニットと同じく平成25年度に構築したSOFC発電評価システムを用いて市販のSOFC単セルの高酸素利用率発電を実現し、当初の予定どおり高酸素利用率発電がSOFC発電性能とカソードおよび電解質の劣化に及ぼす影響を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
発電特性評価用SOFC単セルの製造方法を確立し、カソード材料および電解質材料を変えて性能評価用固体酸化物形燃料電池(SOFC)単セルを製作し、製作したSOFC単セルの高酸素利用率発電性能をSOFC単セルユニットおよびSOFC発電評価システムにより測定・評価する。また、発電特性測定後のSOFC単セルの機器分析を行い、高酸素利用率発電によるカソードおよび電解質の劣化に及ぼす構成材料の影響を明らかにする。
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