2cm角のSOFC単セルの発電性能の評価が可能なサーペンタインガス流路を有するSOFC単セル評価ユニットを製作し、新規に構築したSOFC単セル評価システムを用いて高酸素利用率での650℃での発電性能の評価を行い、カソードガスに空気と純酸素を用いて酸素利用率30%から70%まで上昇させてもIRフリーのI-V特性は大きく変化しないことを明らかにした。酸素利用率が上昇すると酸素分圧の低下によりIRフリー電圧が上昇したがI-V特性に及ぼす影響はわずかであった。これは、SOFC単セルユニットに採用したサーペンタインガス流路が供給ガスの空気もしくは純酸素の吹き抜けを防止し、カソードで均一に反応が起こっていることを反映したものと考えられる。 次に、作動温度650℃、電流密度0.3A/cm2でカソードガスに空気を用いて120時間連続発電試験を行い、酸素利用率70%、80%および90%で連続発電が可能であることを明らかにした。酸素利用率90%では時間の経過とともにIRフリー電圧は低下したが、酸素利用率70%および80%では時間によるIRフリー電圧の低下は見られなかった。これらの結果から、空気もしくは酸素をカソードに均一に流すことができれば、酸素利用率80%までは発電性能の低下は見られないと考えられる。 さらに、作動温度650℃、電流密度0.3A/cm2でカソードガスに純酸素と空気を用いて酸素利用率が70%で120時間連続発電試験を行ったSOFC単セルのカソードのEPMA分析を行うと、カソードのランタンストロンチウムコバルタイトの厚さ方向のランタンの分布はカソードガスに純酸素を用いても空気を用いても変化しないが、ストロンチウムの分布はカソードガスに空気を用いると広がることを明らかにした。このストロンチウムの分布の広がりがSOFC単セルの性能低下と劣化に及ぼす影響は今後の検討課題である。
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