水中洞窟・海底洞窟のような上方を天井で塞がれた閉鎖水面環境は暗黒の水中迷路であり、川・海・湖沼などの広い開放水面を前提にした水中ロボット技術では実用探査が困難である。水中迷路の向こう側には、水中ロボットが探査不可能な閉鎖空間(未知の新洞窟)が広がっている。これらを精度良く安全に探査できれば、自然地理学・地形学・水文地質学・地下水文学・洞窟学など学術分野に貢献できる。また、水中ロボットは非水中環境では移動できないため、水面までの移動方法と水面から移動する方法の効率化・自動化が望まれる。本申請課題では機体の確実な往還・回収まで含めた連携ミッションを目的として、水中ロボット・非水中ロボット(陸上移動ロボット、飛行ドローンロボット)のデータリンクを前提とした洞窟・水中洞窟の探査システムの研究を実施した:(1)ロボット間の無線データ通信技術、非水中ロボットの画像撮影と機体制御、(2)水中ロボット・非水中ロボットの位置・姿勢の移動制御、(3)水中ロボットのソナーによる水中洞窟壁面の形状計測、非水中ロボットのカメラ・レーザー測域センサーによる洞窟壁面の形状計測 現場における実証実験の過程で、鹿児島県「ウンブキ」(横穴型)、福岡県「不動洞」(横穴型)、沖縄県「ピキャズ」(斜洞・横穴型)では未知の水中洞窟を発見した。また、福岡県「青龍窟」(横穴型)、「牡鹿洞」(縦穴型)では測域センサーによる洞窟の3次元点群マップを作成した。
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