本研究では,実腐食鋼材や実橋梁の補修設計や点検等に有用な知見を得るため,①腐食鋼管柱の曲げ座屈実験,②残存強度推定のための板厚評価法の提案,③老朽化トラス橋の耐荷力解析を実施した. ①②に対しては,超音波厚さ計を用いた腐食部位の簡易な板厚評価式を提案し,鋼支柱の腐食性状と曲げ座屈性状の関連を明らかにした.③については,部材レベルから橋梁全体レベルに視点を拡大し,延命化が望まれる地域の老朽化鋼橋について,腐食が無い状態での耐荷力を活荷重倍率の概念を用いて解析的に評価した.しかしながら,解析モデルを構築する上で改善・検討すべき課題も見つかった.
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