研究課題/領域番号 |
25420634
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山田 協太 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (40434980)
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研究分担者 |
池尻 隆史 近畿大学, 公私立大学の部局等, 講師 (10408718)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 近代仏教建築 / 地域景観史 / 都市 / アジア/亜細亜 / スリランカ / インド / タイ / 日本 |
研究概要 |
本年度は、コロンボ、コルカタ、バンコク、チェンマイ、において調査をおこない、京都で資料収集をおこなった。コロンボにおいて、19世紀以降現在にかけて建設された主要な近代仏教寺院を対象として、建設年代、立地、建設者、伽藍構成、建物様式、壁画様式、彫像様式について調査をおこなった。また、コロンボ近郊の主要な仏教寺院、遺跡をまわり、近代仏教以前の寺院についても踏査をおこなった。加えて、コルカタを拠点として、仏教を通じたアジア諸国の連携を唱えたスリランカの仏教者ダルマパーラの日記の一部複写をおこなった。調査をつうじて、近代仏教建築の建設をつうじた都市景観の形成と国民国家の形成とが連動しながら進展する様を明らかにすることができた。スリランカの近代仏教運動がキリスト教からの再改宗からはじまったことを反映して、初期の近代仏教建築は植民地建築の空間構成と意匠を有する。ナショナリズムの台頭、国家形成とともに、島内に現存するより時代の古い仏教建築、遺跡の意匠が参照規範として確立してゆく。 コルカタでは、19世紀末から20世紀初頭当時に当地で活動した仏教者ダルマパーラ、日本の仏教者堀至徳の日記をもとに、活動拠点となった主要施設や交友関係のあった家について、その立地と残存状況、建築的特徴を調査し、それぞれの日常活動の広がりを地図上に跡付けた。加えて、当時の国際的仏教雑誌”マハー・ボーディ”の複写をおこなった。調査をつうじて人々の具体的交友関係とそれに対応する場所が把握された。2人の仏教者は同時期に活動したがその交友範囲は必ずしも重なりあっていない。また、仏教を介した国際交流の象徴として、インドの古代仏教様式が20世紀初頭頃から用いられたことが明らかとなった。 バンコク、チェンマイでは19世紀末以降に建設された仏教寺院の様式について調査を行い、現地の研究協力者と今後の研究の進め方について検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨地調査をつうじて、主要な対象都市であるコロンボ、コルカタ、バンコクにおける近代仏教建築の立地状況を把握することができた。 また、寺院を結節点とする人の具体的交友関係や活動の背景となった思想を分析するための教団機関誌などの文字資料の収集も順調に進んでいる。 研究成果は随時学会、研究会で発表してきた。
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今後の研究の推進方策 |
研究会、打合せをつうじて連携研究者、研究協力者と視点、手法の共有を図る。 教団機関誌を中心に、寺院、教団関連の史料を引き続き収集するとともに、これまで収集をおこなった機関誌の分析をおこない、近代仏教の成立と展開、都市間の関係性、都市における人々の交流と近代仏教建築建設との関わりを把握する。また、前年度の調査で得られた知見を踏まえて、コロンボ、バンコク、京都、を中心に臨地調査をおこなう。 今年度は下の日程を予定している。研究の進展により若干の変更もある。4月 研究打合せ会(京都大学)において以下をおこなう。近代仏教建築の分析手法の検討、教団機関誌に含まれる情報と分析手法の検討、バンコクでの調査内容の検討、都市間比較手法の検討。5-7月教団機関誌の分析および京都調査、8-9月 コロンボ、バンコク、コルカタ調査、10 月 学会において成果を発表、2 月 研究報告会(京都大学) コロンボにおける調査では、スリランカの研究協力者の協力を得ておこない、バンコクにおける調査ではタイの研究協力者の協力を得ておこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入を予定していた資料を写真で複写することとなり、物品費の支出が抑えられたため。また、人件費・謝金を支払う必要がなかったため。 資料購入などの物品費、および旅費に充てる。
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