19世紀に南アジア、東南アジアから日本を含む東アジアまでを横断的に接合する思想的媒体へと成長した近代仏教に着目し、その思想を物理的に体現した寺院や仏教協会施設などの近代仏教建築の形成と今日的展開をアジア大のスケールで跡付けた。コロンボ、コルカタ、ヤンゴン、バンコク、シンガポール、京都を中心に、近代仏教運動の拠点となった都市ごとの、近代仏教建築の建設とそれをつうじた都市景観の変容を明らかにし、加えて、同時代的交流をつうじた都市間相互の影響関係を明らかにした。さらに、それぞれの都市ごとに近代仏教建築をつうじて目指された方向は異なったことを示し、アジアの各都市の今日的動態の中での京都の位置を論じた。
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