PDI阻害薬としての臨床応用が期待された新規化合物PACMA31であったが再現性が証明されずPDI阻害薬としての開発は断念した。しかしその誘導体であるPACMA5は以下の知見を得た。1)正常細胞には殺細胞効果を示さず、多種のがん細胞には殺細胞効果を示すこと、2)その殺細胞効果は活性酸素発生を介した非アポトーシス細胞死であること、3)臨床上難治性である卵巣癌腹膜播種のマウスモデルにおいて腫瘍増殖抑制効果を示すこと、4)PACMA5の標的タンパクは活性酸素発生に関与するProtein1(仮称)であることが明らかとなった。したがってPACMA5は難治性固形腫瘍の新たな治療薬の候補となりうる。
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