研究課題
多細胞社会のなかで、生命現象の進行はどのような時空間パターンで起こるのか?これらを包括的に理解することを目的に、申請者らが2008年に報告した細胞周期可視化プローブ:Fucciのノウハウを応用し、E3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブ開発をすすめた。 1、レインボーFucciの一つ、Fucci3.2の応用研究をすすめた(論文投稿準備中)。2、低酸素環境[CUL2VHL-HIF1]およびストレス環境[CUL3Keap1-Nrf2]を可視化するE3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブを、Fucci-S/G2/Mマーカーとともに発現するtricistronic 発現系を構築した。レンチウイルスのシステムで種々の細胞に感染させ恒常発現細胞株を取得し、ライブイメージングを行った。これまでにNMuMG細胞では、・播種された密度によって細胞のストレス応答状態が異なること、・培養環境条件により、細胞集団が示すストレス応答にHeterogeneityが見られること、などが観察されている。引き続き、これら現象における細胞個々の個性を描出しながら、生命現象との関連を可視化し、新知見の理解・解釈へとつなげていく。3、挑戦的萌芽研究において開発を進めたエピジェネティクス動態を可視化するプローブを、実用レベルに改良した。他の生命現象と同時に観察することを視野に、プローブの多色化および局在操作を進めている。4、運命決定スイッチを可視化する実験系の立ち上げとして、すでに発表したfloxタイプFucci2マウスの性能を上回り、よりin vivo imagingに適したマウスラインflox-Fucci2aRの作製を共同研究ですすめ、論文発表を行った(Mort et al. 2014)。5、E3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブのターゲットを糖代謝系に設定し、新規5種類のプローブ作製を開始した。
2: おおむね順調に進展している
運命決定スイッチを可視化する実験系の立ち上げについて、主に昨年度に集中して行う事が出来たため、今年度は、E3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブ開発についてスピードアップを意識しながら積極的にすすめた。ストレス環境[CUL3Keap1-Nrf2]を可視化するE3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブをもちいて、興味深い細胞応答を観察しており、今後はこれら生命現象の理解、解釈へとつながる研究を行っていく。エピジェネティクス動態を可視化するプローブにおいては、多色化、局在操作を行っており、in vitro, in vivo の両方向からの検証実験へと進めている。E3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブのターゲットを代謝系に設定し、新規5種類のプローブ作製を開始した。
E3ユビキチンリガーゼ-デグロンプローブ開発においては、代謝系に設定した新規5種類のプローブ作製を積極的に進める。生命現象を多角的に可視化・理解するために、複数プローブの同時使用を可能とするプローブの多色化や、局在操作を行っていく。非侵襲性かつ恒常的に発現する細胞の作製をすすめ、In vitro 3次元培養法を適用し、細胞個々の反応のheterogenityを可視化していく。これら細胞株を用い、ヌードマウスで造腫瘍実験を行う。in vivo における運命決定スイッチを可視化する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)
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http://cfds.brain.riken.jp/Fucci.html