研究課題
基盤研究(C)
植物特異的代謝産物(二次代謝産物)において、配糖化はその多様性の原因となる重要な反応である。特に植物特異的代謝産物の高次配糖化酵素(基本骨格に結合した糖部分へのさらなる配糖化を触媒する酵素)はこれまでに数えるほどしか遺伝子が単離されていない。また、その結晶構造の報告もなかった。本研究では、結晶構造に基づき高次配糖化酵素の詳細な反応機構、基質認識機構を明らかにすることを目的とする。本年度は、アントシアニン高次配糖化酵素UGT79B1の結晶解析を行い、基質認識に重要と思われるアミノ酸残基を置換した複数の変異UGT79B1のタンパク発現ベクターを構築した。また、UGT79B1と高い配列同一性を示すシロイヌナズナ由来の新規フラボノール高次配糖化酵素遺伝子UGT33の機能同定を行った。UGT33遺伝子破壊変異体では、花粉特異的に蓄積するフラボノール高次配糖体2種類が欠損していることを見出した。UGT33遺伝子破壊変異体は、UGT33遺伝子を導入することで、野生型と同じフラボノイドプロファイルに回復した。組換えUGT33タンパク質を大腸菌を用いて発現させ、その酵素活性を測定し、糖受容体、糖供与体の基質特異性を決定した。UGT33の組織局在性も明らかにした。UGT33は、UGT79B1と同一植物由来の糖受容体の異なる高次配糖化酵素であり、高次配糖化酵素の糖受容体認識機構の獲得に関して分子進化的にアプローチする良い材料と期待できる。
2: おおむね順調に進展している
高次配糖化酵素UGT79B1の結晶構造解析については、予定通り進行している。基質となるUDP-xyloseの輸入取扱が中止されたため、UGT79B1の反応機構の解明は中断しているが、新規のフラボノール高次配糖化酵素遺伝子の機能同定は当初の計画以上に進展したため。
今後は、アミノ酸変異を導入したUGT79B1の生化学的解析を推進する。新規代理店にUDP-xyloseの輸入取扱を依頼し、糖供与体であるUDP-xyloseは入手可能の予定である。
生化学実験に必要な糖供与体であるUDP-xyloseが輸入取扱代理店の突然の取引中止により輸入不可能となり試薬購入ができなかったため。UDP-xyloseは、国内で生産、販売している試薬会社がなく輸入購入するしか入手手段がない。また不安定な試薬なため、冷凍品としての輸入が必須であり、代理店を介した取引が望ましい。新規の代理店にUDP-xyloseの輸入販売を依頼し、入手可能になる予定であるため、UDP-xyloseの購入に充てる。
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