琵琶湖沿岸におけるカワニナ類の遺伝子浸透を調べることを目的として,新たな遺伝子マーカーであるPk-Int2領域の解析を行った。その結果、固有種3種とカワニナ(広域分布種)の系統は明瞭に分かれたが、チリメンカワニナ(広域分布種)では、配列の変異が非常に大きかった。また、タテヒダカワニナとハベカワニナ(固有種)では,Pk-Int2領域は、従来の遺伝子マーカーであるITS-1領域と比べて,ヘテロ接合率が顕著に高かった。これらの結果から、カワニナ類の遺伝子浸透は予想以上に激しく、各種のマーカーとなる部位を発見するにはより多数の標本と多くの遺伝子座の調査が必要と考えられた。
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