多くの被子植物の種子形成過程では、重複受精によって生じた胚乳原核は細胞質分裂を経ない核分裂により多核胚乳形成する。イネでは数千個の核をもつ多核胚乳が形成される。 このようなイネ胚乳初期発生の制御メカニズムに関する知見を深めるために、成熟種子においては胚乳組織が欠損しているイネの無胚乳変異体enl2の解析を進めた。その結果enl2変異体は多核胚乳期おける染色体分離や核の離散に異常を示すことが明らかになった。さらに変異の原因遺伝子候補を次世代シーケンサで同定したところ、クラミドモナス等の生物で核膜融合や減数分裂にも機能するとされるタンパク質に類似したタンパク質をコードする遺伝子が浮かび上がった。
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