作物の旱魃抵抗性を改善するために,収穫部位の温度が,子実への同化産物の転流におよぼす影響について調査した.土壌乾燥環境下におけるコムギの子実発達には,系統間差が認められ,子実生長が大きい系統(SW-15)と小さい系統(SW10)を特定した.子実の貯蔵糖類を調査した結果,SW10の子実は,ショ糖含有率が,SW15よりも大きいことが示された.これは,SW10ではデンプン合成が十分に行われていないことを示唆している.そして,穂温には両系統間で差異が認められ,SW10の穂温は,SW15よりも高かった.この穂温の差異が,デンプン合成・分解酵素活性に影響して,子実生長に差異が生じた可能性が示唆された.
|