出芽酵母の前胞子膜形成をモデルに、生体膜の形態形成の分子機構に関する研究を行った。前胞子膜の適切な伸長に必要な遺伝子の遺伝学的解析から、膜のリン脂質の一つであるPI4Pの合成酵素の複合体がこの過程に関与することが示された。また、PI4Pとその合成酵素、そしてPS, PAが前胞子膜に局在することが示され、さらに、PI4P合成酵素複合体の形成阻害、PI4P合成酵素の活性を持つサブユニットの分解、そして前胞子膜上のPI4Pの減少が、前胞子膜伸長に重要であることが示唆された。これらのことは、前胞子膜の伸長においてPI4Pの調節が重要であることを示し、生体膜形態形成の分子機構の一端が明らかになった。
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