研究課題/領域番号 |
25450125
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
西原 宏史 茨城大学, 農学部, 教授 (10260465)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ヒドロゲナーゼ / 水素酸化細菌 / 水素 / 燃料電池触媒 / 蛋白質発現 |
研究概要 |
ヒドロゲナーゼは水素燃料電池用触媒や水素生産への利用が期待されるが、酸素による失活は実用上の課題である。好気環境で機能するHydrogenovibrio marinus由来の膜結合型ヒドロゲナーゼ(HmMBH)は酸素耐性型MBHとして初めてX線結晶構造解析が成された。その情報に基づく変異導入実験等を可能にするため、Ralstonia eutrophaにおける発現を検討する。 MBHの成熟化は複雑な過程をとり、活性中心形成だけで少なくとも6つのHyp蛋白質群が必要だといわれる。まずはpCH591(J. Bacteriol., 182:2716-24, 2000)にクローン化されているヒドロゲナーゼ・プロモーターP(SH)の制御により、HmMBHをシトクロムとの複合体構造をもつ膜酵素として発現することを試みるために、P(SH)下流の開始コドンに合わせて作成されたNdeIサイトを利用して構造遺伝子および取得されている2つの成熟化関連蛋白質遺伝子を導入した発現ベクターの構築を進めた。すなわち、P(SH)-hoxK (小サブユニット・SSU)-hoxG (大サブユニット・LSU)-hoxZ (シトクロムb)-orf1 (シトクロムcと推定)-hoxL (LSUのシャペロン)-hoxM (LSUのC-末端特異的プロテアーゼ)で構成される発現ベクターを構築した。hoxLとhoxMはゲノム上では構造遺伝子と逆向きにコードされているため、構造遺伝子下流に同方向に配置するようにした。本遺伝子セットをpEDY309(J. Bacteriol., 182:2716-24, 2000)に載せてヒドロゲナーゼ欠損変異株であるR. eutropha HF424株に導入した形質転換株、HF424MH31株の取得に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はHmMBHで取得されている成熟化関連蛋白質(HoxL, HoxM)とHmMBH構造遺伝子を共発現させる方法を検討するためのベクター構築、および形質転換株の取得を進めることを計画していたため、おおむね計画通り順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に取得することができたR. eutropha形質転換株(HF424MH31株)を用いて、P(SH)制御による膜酵素としての発現を検討し、活性およびその局在性を解析する。有意な活性が得られない場合には、SSUのシグナルペプチドやLSUのC-末端プロテアーゼによる切断部位をReMBH型配列へ改変するなど、ReMBHの成熟化システムに依存した発現の最適化を検討する。また、他の試みとして、HmMBHの膜透過はTatシステム依存的であり、膜透過前に細胞質内で機能的なヒドロゲナーゼ部位(SSU-LSU二量体構造)が形成されることから、ヒドロゲナーゼ部位を可溶性酵素として発現することを検討する。そのために、SSUのシグナルペプチドを削除した発現ベクターの構築を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定より若干安価に済ませることができたため、千円単位の端数が生じた。 平成26年度実施分の支払請求額とともに、当初計画通りに使用する。
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