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2014 年度 実施状況報告書

厳密な加熱条件設定による豆乳の新品質創出

研究課題

研究課題/領域番号 25450173
研究機関静岡県立大学

研究代表者

下山田 真  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60235695)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードJoule heating / soy globulin / heating rate / aggregate / PAGE / denaturation
研究実績の概要

H25年度の検討において豆乳をジュール加熱によって加熱調製する際に昇温速度が低下するにつれて沈澱率、タンパク質変性度、粘度が上昇し会合体の生成が促進されることが示された。そこで、脱脂大豆より調製したグロブリン画分の分散液を同様にジュール加熱し、タンパク質変性度に及ぼす昇温速度の影響について検討した。
グロブリン画分を水に分散させたところ、今回の試料では0.3%以上に溶解させることはできなかったので、0.3%分散液を用いて行うこととした。昇温速度は30℃から95℃まで温度を上昇させる時間で表現し、3分から30分の範囲で変化させた。グロブリン画分の分散液を様々な昇温速度でジュール加熱した後に急冷し、8-anilino-1-naphtalene-sulfonic acidを添加し蛍光強度からタンパク質変性度の比較を行った。その結果、タンパク質の変性度と昇温速度の間には明確な相関は見られなかった。
そこで、グロブリン画分を3分と30分の昇温時間で加熱後、各々のタンパク質成分についてネイティブPAGEで分画し、タンパク質の組成について比較した。その結果、3分で昇温した試料では30分で昇温した試料には見られないバンドがみられた。そこでこのバンド部分を分取しSDS-PAGEで分析したところ、いずれのバンドからもグリシニンのみが検出された。この結果より、急速に昇温することでタンパク質分子種間の相互作用が抑えられ、単一分子種で挙動する画分が増加するものと考えた。
タンパク質の変性度にはっきりとした違いがみられなかった理由として、今回用いた試料中のタンパク質濃度が豆乳中の1/10以下であったため、タンパク質分子間の距離が大きく、相互作用が起きにくかったと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

グリシニンのβ-コングリシニン等、他成分に対して及ぼす相互作用について昇温速度が影響していることを明らかにできた点は評価できると考えている。しかしながら、大豆グロブリン系で昇温速度の影響を明らかにすることは困難で、再検討を余儀なくされた。これは実験室で調製したグロブリン画分の溶解性が低かったことが主な要因と考えられた。豆乳と比較してタンパク質濃度を低くせざるを得なかったためにタンパク質分子間の相互作用が抑制されて、豆乳とは異なる挙動を示したものと考えている。

今後の研究の推進方策

グロブリン分散液では解析測定が難しいことから、次年度は豆乳の系において個々のタンパク質の挙動を詳細に分析する。すなわち、生豆乳を調製し、様々な昇温速度で加熱するとともに、途中に温度保持を挿入した条件で加熱処理を行う。昇温速度、保持温度、保持を含めた加熱時間などをパラメータとして粘度、タンパク質変性度、沈澱率との相関について検討する。得られたデータより、豆乳の品質に及ぼす昇温速度と温度保持の影響について明らかにする。また、豆腐カードの形成性についても確認し、実用面でのデータとする。
一方で、豆乳をネイティブPAGEで分画し、様々なタンパク質の解離体、凝集体の画分を得、SDS-PAGE、HPLC等で分析することでタンパク質分子種間の相互作用について検討する。超遠心分離より凝集体の分子サイズについても情報を得ることで豆乳の加熱条件と凝集体生成の関係について整理し、豆乳の品質制御について考察する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 大豆タンパク質の加熱変性挙動に及ぼす加熱速度の影響2015

    • 著者名/発表者名
      下山田真、植松真未
    • 学会等名
      日本食品工学会
    • 発表場所
      広島
    • 年月日
      2015-08-10 – 2015-08-11

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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